材木座にて

大きな台風が来たあと、空が劇的に変化する写真を撮りたくて
カメラと三脚を持って、海へ出かけた。

途中、昔からその場所にあったという風情の酒屋の前で いかにも漁師さん風のオジサンたちが
何人もお酒を飲んでいた。

私は その酒屋さんに入って、缶ビールを手にしたが、
ちょっとだけ躊躇して、ノンアルコールビールを取り直した。

「今日は 撮影が目的だものね。酔っ払っては台無し。」

近くに陳列されたポテトチップも取って、レジへ。

レジには 年配の優しそうな女性。

会計が終わると 私が首から提げているカメラを見て

「あの花、珍しいそうよ。撮っていけば?」と私の後方を指差した。




風蘭(フウラン)というそうだ。


私は 何枚か風蘭を撮り終えると、その女性に挨拶をして、店を出た。


材木座の海水浴場へ出ると、予想通り、海の家はどこも閉まっていた。

海水浴客も 1人も見当たらない。

私は 砂浜に持ってきたシートを広げ、ノンアルコールビールの缶を開けた。



台風の影響で、時折 突風が吹いてくる。


私は 真新しい三脚にカメラを装着し、空と 海と 時折訪れる人を
ファインダーごしに眺める。


とても いい時間だ。  かけがえのない時間だ。


私が 欲しかったものは こんな時間だったのかもしれない。


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by sakurahanasakukor | 2011-08-04 00:51 | カメラな世界
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